〈ぼく〉は女友達を誘って、ある詩人が行う風変わりな街頭朗読会のようなものに参加する。その朗読会は参加者も登場人物の一人となって作品の形成に加わるというものだった。
詩人が考えた「冬の本」とは一体いかなる物語なのか。さまざまなものの境界に立ち、何者かの衣擦れに耳を澄ますような物語。初冬のための物語。
――でもそれは女の人なのだろうか。
大きく逞しかった。大型の肉食動物のようだった。
右腕が左腕より太く長い。べつの人間のものをくっつけたように見える。
目も左右でべつべつの目に見える。右の目のほうが優しい。
服は女の着る服を着ている。服の上――薄い色の服の上からでも、乳房の大きさが左右で違うことが分かる――
400詰原稿用紙換算約46枚。シングルカットシリーズ第1作。
価格280円。