電子書籍

0058 宝石晶洞  吉美駿一郎



人の暗い熱、ノアールのかすかなエコー、大型作家はゆっくりと登場する

 工場で働きながら演劇をつづけるアマチュア俳優の池内は、ある日、すこし変わった新人の信組(のぶくみ)からもうけ話を持ちかけられる。それはギウダという宝石にかんする話で、にわかには信じがたいものだった。しかし信組が実際に所有するギウダを目にし、そして手にいれた経緯を聞くうちに、池内の心のなかには抑えがたく興味が広がっていく。
 敗れつづける者たちの眼路の果てで光るギウダ。鬱屈、欲望、人の翳り。
 大きな作家、重い階級の作家はゆっくりと登場する。本作は今後書かれるはずの豊穣な作品群の最初のものである。

 表紙イラストは路肩よわし、表紙デザインは浅野春美。400字詰め原稿用紙換算約120枚。450円。

アマゾン
楽天ブックス


プロフィール
吉美駿一郎(よしみ・しゅんいちろう)
作家・活動家。第1・2・6回BFC出場。第2回かぐやSFコンテスト大賞受賞。中訳版が〈科幻世界〉掲載。SFアンソロジー『新月』に「盗まれた七五」収録。第三十四回市民文芸ひろしまエッセイ・ノンフィクション部門にて三席入賞。

関連記事

  1. 0003 ふゆのほん 西崎憲
  2. 0008 ギョウザとわたし  南條竹則
  3. 0005 コロニアルタイム 大滝瓶太
  4. 0042 わたしが書きたい詩の言葉だけ書けない
  5. 0022 ゆかし妖し  堀川アサコ
  6. 0049 本郷・二分間の絶景  本間文子
  7. 0023 スカーレット・ヤングスター 佐川恭一
  8. 0001  のけものどもの  大前粟生
PAGE TOP