電子書籍

0028 ギャルソン・裏山月記  樋口芽ぐむ

 少年時代の記憶をつづった「ごめんよシロー」は以下の文からはじまっている。

「悠一はどこにでもいる平凡な男性同性愛者である」

 収録作中の同性愛が重要な要素になっている小説にかんして言えば、この文が作者の特性をよく表しているかもしれない。
 樋口芽ぐむの同性愛小説は常温に近い。「どこにでもいる平凡な男性同性愛者」たちのための作品なのである。樋口芽ぐむはそうしたやりかたを採用したことによって、同性愛小説全体を少し前に進めたのではないだろうか。

関連記事

  1. 0052 うか 岡田麻沙作品集  岡田麻沙
  2. 0017 あいつらにはジャズって呼ばせておけ ジーン・リース短篇…
  3. 0032 ななつの娘と夜の旅 石の巻  北野勇作
  4. 0037 世界の果ての庭  西崎憲
  5. 0023 スカーレット・ヤングスター 佐川恭一
  6. 0015温泉と城壁  北野勇作
  7. 0004 幻想秘湯巡り 南條竹則
  8. 0005 コロニアルタイム 大滝瓶太

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP