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シングルカット第4弾
還ってきた老人から始まる仄暗い百の断片 倉阪鬼一郎
――蒙漠たる空の雲が切れ、一条の光が差しこんできたとき、その港に一人の老人が還ってきた。
齢[よわい]何歳とも知れない老人の歩みはひどく弱々しかった。手にした白い杖はたしかに動いていたが、ずっと同じところにとどまっているようにも見える。
それでも、その杖の白さは目にしみた。世界に先んじて杖がそこに在り、緩慢に、だが着実に動いているようにも見えた――
お待たせいたしました。怪奇幻想の旗手倉阪鬼一郎がシングルカットで帰還。老人、港、滅びゆく世界、仄暗い世界へようこそ。
表紙画像は著者。
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